インフォメーション

「社会運動の再生にむけて〜韓国の市民・女性・労働運動から学ぶ〜」セミナー開催にあたって

2020年8月3日掲載

「安熙正性暴力事件」の1審で無罪判決が出た後、「安熙正性暴力事件共同対策委員会」の記者会見の様子(2018年8月14日)。プラカードには「無罪判決を糾弾する」と書かれている。

 韓国の社会運動は民主化以降も持続的に影響力を保ち、政治、経済、社会のあらゆる領域において韓国社会の発展に大きく寄与しています。なぜ社会運動はここまでの大きな力を得ることに成功しているのでしょうか?日本は韓国の経験から何を引き出し、今後に役立てていけるでしょうか。
 生活経済政策研究所では「社会運動の再生にむけて〜韓国の市民・女性・労働運動から学ぶ〜」連続セミナーを企画し、5回にわたり様々なテーマを取り上げ、韓国の社会運動の成功の秘訣を探ります。特に注目するのが「組織力」です。多様な人々を繋いて大きな輪をつくることが社会運動には欠かせませんが、労働組合などの既存の組織を必ずしも基盤としない社会運動の場合は、ネットワーク型の連携を柔軟に築く必要があります。それを成功させるには意思決定、情報共有、担い手育成、資金調達、リーダーシップなどの点で持続可能な組織を構築しなくてはなりません。
 本セミナーではテーマごとに複数の活動家をお招きし、組織力の要点を聞き出していきます。さらに、日本での関連団体関係者との交流機会を設け、実践的に社会運動活性化の方策を探ります。
 今後は、女性と労働、ソウル市の革新的試み、最低賃金やベーシック・インカム、移住労働者の問題などを取り上げていく予定です。

 

 

社会運動の再生にむけて〜韓国の労働・市民運動から学ぶ〜Vol. 1

韓国の女性運動活動家が語る#MeToo運動
―いかに韓国女性たちはつながり、たたかったのか? その戦略と成果は? ―
      

「#MeTooと共にする市民行動」が開いたパフォーマンス(2018年11月10日)。 手に持つ黒いスカーフは女性を抑圧し束縛するもの、特に性差別的な言動を意味し、この後に束縛を外そうという意味をこめてスカーフを空中に放った。

 大きな盛り上がりを見せた韓国の#MeToo運動は、ジェンダー平等実現のための女性たちの闘いに発展し、韓国社会のあらゆる方面や領域において彼女たちの闘いは今も続いています。韓国の#MeToo運動は性暴力加害者の責任を問うただけではなく、マスメディアによる二次加害の防止、性暴力に関する法制度の改善、学校や企業など日常生活における性差別と性暴力についての認識変化などの具体的な成果をもたらしました。また、韓国の#MeToo運動は、元秘書への性的暴行の罪に問われた元・忠清南道知事の安熙正(アンヒジョン)氏に対する韓国大法院(最高裁)有罪判決を導くなど、司法判決にも大きな影響を与えました。

 なぜ韓国の#MeToo運動は大きく盛り上がり、広範な成果を獲得できたのでしょうか?その理由のひとつは韓国の女性団体が「組織的対応」に成功したことがあります。「#MeTooと共にする市民行動」は、女性団体や市民団体などが結集して、韓国社会に潜む構造的な差別問題を公の場で指摘し、社会の根本的な変化に繋がるように、討論会、集会、募金、記者会見、共同対策委員会などの活動を組織的に展開しました。また、女性団体は、「安熙正性暴力事件共同対策委員会」という連携活動を通じて、性暴力被害者の支援はもちろん、専門家と市民社会団体、一般市民を繋げ、裁判に取り組み、有罪判決を導き出しました。

 本セミナーは、これらの活動においてコーディネーターの役割を果たした韓国女性団体連合(KWAU)と韓国性暴力相談所(KSVRC)の活動家を招き、それぞれの活動と「組織的対応」の要点についてお話しいただきます。ぜひご参加して、韓国の話を聞き、韓国の活動家とつながってください。(同時・逐次通訳)

 

プログラム

日時 2020年9月24日(木) 18:00〜
18:00 開催挨拶
三浦まり(上智大学)
18:05 ガイダンス 申琪榮(お茶の水女子大学教授)
18:25
金壽瞦 KIM SOO HEEさん
ビデオ講演「韓国の#MeToo運動と女性運動」(日本語字幕)
発表 金壽瞦 KIM SOO HEEさん
 韓国女性団体連合(Korea Women's Associations United: KWAU)
 部長(暴力・セクシュアリティ担当)
 韓国女性団体連合は「#MeTooと共にする市民行動」の中核団体
18:50
金惠晶 KIM HYE JUNGさん
ビデオ講演「反性暴力運動の前線―高位公職者の性暴力事件と共同対策委員会」(日本語字幕)
発表 金惠晶 KIM HYE JUNGさん
 韓国性暴力相談所(Korea Sexual Violence Relief Center: KSVRC)副所長
 韓国性暴力相談所は「安熙正性暴力事件共同対策委員会」や「ソウル市長威力による性暴力事件被害者支援団体」の活動の中核を占める。
19:15 登壇者へ質疑応答(逐次通訳)
19:45 交流会 韓国からは登壇者以外にも両団体のアクティビストが数名参加します。ブレークアウト・ルームに分かれて交流する機会を設けます。逐次通訳がありますので、ぜひこの機会にご参加ください。
20:55 閉会挨拶
金美珍(法政大学大原社会問題研究所)

 

 

オンライン開催

Zoomを利用してのオンライン開催となります。
お申し込みいただいた方には、9月18日にセミナーアクセスのためのURLやID、パスワードをお送りいたします。
注意事項など詳細につきましては招待メールをお待ちください。
なお、録画での公開はありません。

チラシダウンロード オンラインセミナー 社会運動の再生にむけて〜韓国の労働・市民運動から学ぶ〜Vol. 1(PDF)
申込先

申込の受付は終了しました。

2020年9月17日までにお申込いただいた方で、招待メールが届かない方は、次のメールアドレスまでご連絡ください。
e-mail: daimon@seikatsuken.or.jp

一般社団法人生活経済政策研究所
TEL 03-3253-3772 FAX 03-3253-3779 e-mail: info@seikatsuken.or.jp

主催団体 生活経済政策研究所「社会運動の再生~韓国の労働・市民運動から学ぶ」プロジェクト
共催 科学研究費助成事業若手研究「韓国ソウルにおける「新しい労働運動組織」を支える社会的基盤に関する研究」(課題番号20K13707研究代表者:金美珍)